ヴィンテージ・スタインウェイのおはなし:③   by 坂上麻紀

ヴィンテージ・スタインウェイにはその鉄骨に様々な文字や模様で飾られています。鋳物の製作上,これは面倒なことなのです。

この写真のバー(ダイヤゴーナル・バー)にはSTEINWAY  FOUNDRY STEEL CASTINGの文字が浮かんでいます。

これは今,普通に言う鋳鋼(キャスト・スチール:ちゅうこう)の意味ではありません。この言葉の本当の意味につきましては,すでに別のところで詳しく解説させて頂いておりますのでご覧下さい。

各バーの名称につきましてもそこに書いていますが,この続編 ⑤でもまた,お見せすることにします。

文字や数字,それに数珠玉模様はヴィンテージ・スタインウェイの鉄骨のいたる所にみられます。プレート・ホールの周りにも数珠玉模様があります。新旧のスタインウェイではこれの有無だけではなく,ホールの直径も違っています。

このピアノにはレストプランク・ウェブと呼ばれるピンブロックを抑える部分の鉄骨にも様々な文字が浮かんでいます。

それらはスタインウェイ&サンズ社が取得した特許を書き並べたものです。当時のアメリカではピアノ会社は取得した特許を鉄骨に明示するよう義務付けられていました。

やがてその規制は緩和され,面倒な工作を要する文字表示は衰えて行きました。鉄骨に沢山文字のあるスタインウェイほどよいピアノ,という力説なさる方がいらっしゃいます。

これは鉄骨に浮き彫りにされた文字や数字が製造年代を表す印の意味を持っているからです。