ヴィンテージ・スタインウェイのおはなし:②   by 坂上麻紀

スタインウェイピアノは製造番号からその製造年がほぼ特定できます。しかし,No.104611についてはスタインウェイ&サンズ社に問い合わせてみました。

すると,このピアノは1902年2月14日にN.Y.のディットマーズ新工場で完成し,同年10月18日,最初の買い手であるピアノメーカー,エオリアン社に販売されたことを教えられました。

エオリアンがこのピアノを購入した意図は同社の自動演奏装置ピアノラをスタインウェイのフルコンに装備するための試験台にするためであったようです。1913年,この企画はスタインウェイとエオリアンとの合作“デュオアート”としてデビューすることになります。

このピアノには年月日の記載箇所が3箇所,ありました。一つは鉄骨の奥の端で,写真のように,これは見たままの画像ですが,21/11.01  4126という浮き彫りがあります。前の方は1901年11月21日でしょう。後ろは1901年に造られた4126個目の鉄骨ということでしょう。

2つ目の年月日記載はピアノのお腹(ベリー)の奥,アクションの向こうにあるダンパー・アンダーレバー・アッシーにありました。こちらは1901年11月19日となっています。この部品は今では取り外され,現行品に置き換えられ,取り出されたオリジナルは展示(?)しております。

3つ目の年代表記として,打弦機構であるアクションを支えるアクション・ハンガーの演奏者から見て左後の足許に“1906”という数字が打刻されています。

これはエオリアンで様々な改造が試みられた後,1906年以降にこのピアノが普通の状態に戻された上で二番目の買い手を求めて売りに出されたことを物語っているように感じます。